ICEFでは、キーとなる先端技術を用いてクリーンエネルギーに移行するためのロードマップを作成しています。ロードマップは、産官学の視点に立って現実的かつ事実ベースの道筋を見出し、すべてのステークホルダーの活動に資することを目指します。
ICEFロードマップは、二酸化炭素利用技術やエネルギー貯蔵技術など、長期的ネット・ゼロ・エミッションを牽引することが期待される技術を取り上げ、年次総会においてドラフトを提示、総会での議論や有識者のレビューコメントを反映した上で作成されています。
このロードマップでは、バイオマスを用いて大気からCO2を除去し、そのCO2を地下または耐久消費財に貯蔵する方法を取り上げています。 また、本トピックを表す新しい用語として「バイオマス炭素除去・貯蔵(Biomass Carbon Removal and Storage: BiCRS)」を用いています。この用語は、これまで用いられてきた用語である「CCS(炭素回収・貯留)付きバイオエネルギー(Bioenergy with Carbon Capture and Storage: BECCS)」よりも、本トピックをより適切に表現していると考えています。
本ロードマップでは、次の論点について検討しています。
本ロードマップは、世界のCO2排出量の約10%を占め、脱炭素化が求められている産業用途熱に焦点を当てています。水素・バイオマス・電力化・原子力・CCUSといった脱炭素化へ向けた技術の現状と成熟度の評価、セメント・鉄鋼・石油化学における事例分析、および産業用途熱の脱炭素化に不可欠な政策をまとめ、長期的な指針を提示しています。
本ロードマップは、「2℃目標シナリオ」におけるネガティブエミッション技術のポートフォリオを検討し、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)に焦点を当てています。さらに、DAC技術とその現状、DACの長期目標(例えば、経済的実行可能性、DACおよびCO2利用における正味CO2削減の実現、再生可能エネルギー電力の役割、研究開発及び実証における目標)と政策支援などを提示しています。
本ロードマップは、2016年のロードマップからさらに検討を進め、コンクリートおよび炭酸塩(短期市場)、汎用化成品(短中期市場)、および耐久性炭素材料(現在は小規模だが潜在市場は大きい)という3つの分野に焦点を当てました。また、CO2利用による便益を分析する際に重要となる「ライフサイクル分析」も実施し、CO2Uによる便益の促進や最大化を実現するような政策的アプローチを探究しました。
技術の実現可能性、技術成熟度、市場及び機運(momentum)の観点から約180件の国際的な技術開発事例の評価を行い、二酸化炭素利用技術の商用化に向けた2030年までのロードマップを提案しました。